メッセージ
第7回 日本NP学会学術集会会長
本田 和也
Collaboration診療看護師 (NP) の真価を問い、新たな価値を創造する
日々診療看護師 (NP) の発展のために努力を惜しまない、全国の病院関係者・教育者・研究者・支援団体等の皆様、そして「看護のチカラ」を信じ、診療看護師 (NP) としての歩みを進めている487名の実践者の皆様に心より感謝申し上げます。この度、第7回日本NP学会学術集会 (本会) を、2021年11月19日 (金) 〜 11月21日 (日) の3日間、長崎県で開催させていただくことになりました。
長崎県のヘルスケアシステムへの貢献を意識してきた一人の診療看護師 (NP) 実践者として、地元長崎で会長という大役を務めさせていただけることを大変光栄に思います。本会では会長の責務として、診療看護師 (NP) 実践者ならではの視点や新しい発想・new normal (ニューノーマル) も十分に取り入れながら、意義のある会となるよう準備を整え、会期を迎えることができればと思っています。
診療看護師 (NP) の未来につなげるための“Collaboration”
Nurse practitioner (NP) プログラムは、1965年に米国 (コロラド州) で一人の看護師、医師によって設立されました。その後1970年代にはその質の高いケアの提供において、費用対効果を実証し、ヘルスケアシステムの中での視認性を高め続けました。その結果、現在では米国だけでも29万人を超えるNPが存在し、その役割は世界中に広がっています。
日本では2008年に、大分県立看護科学大学大学院修士課程において、診療看護師 (NP) の養成教育が開始されました。一定レベルの診断や治療などを行なうことができる、米国等のNPに相当する資格までは至っていませんが、診療看護師 (NP) により提供される質の高いケアが、日本全国の医療施設、福祉施設等で発揮され、患者やその家族 (クライアント) はもちろんのこと、他職種の皆さんからも高い評価を得ることができています。また、診療看護師 (NP) は、日々刻々と変化する医療現場の現況 (コロナウィルス感染症の流行、地域格差の深刻化、医師の働き方改革など) に柔軟に対応しながら、多くの方々にその役割の魅力を、情熱をもって伝えていくことで、これからの日本の医療において欠くことのできない存在へと成熟しつつあります。
しかし、これからは直面する2025年問題、2040年問題に対して「診療看護師 (NP) の高度実践看護のチカラで何ができるのか」。その答えを探求・実証するために、診療看護師 (NP) とその可能性を信じ、期待してくださる関係者の皆様が一丸となることが重要だと感じています。さらに、その実証結果を持って診療看護師 (NP) の価値を社会全体に示していくことが、診療看護師 (NP) の未来へ繋がる一つの “Key” になると考えています。
そこで、今回のテーマは「Collaboration -診療看護師 (NP) の真価を問い、新たな価値を創造する-」としました。Collaboration (コラボレーション:協同・協働) という言葉を選んだ理由は、診療看護師 (NP) が多職種・研究者・教育者・管理者・クライアント等とのcollaborationによって、診療看護師 (NP) の “practitioner (実践者) ” としての能力を最大限発揮でき、さらには診療看護師 (NP) がその効果を客観的に実証するプロセスも推進されると、一人の実践者として感じているからです。また、collaborationによって、診療看護師 (NP) の真価についても本会で問いたいと思っております。“真価” とは「本当の値打ち、物や人の持つ真の価値や能力 (チカラ) 」です。本会を通じて、これまで明らかにされてこなかった診療看護師 (NP) の本当の価値や能力を改めて問い、未来に向けて新しい価値を創造できたらと考えています。
参加していただく診療看護師 (NP) 実践者の方々には、自らがこれまで担ってきた (培ってきた) 価値 (役割等) を振り返るきっかけにしていただき、さらには今後進んでいく道を自分なりに考えられる“自律性”を育むきっかけになればと思っています。
診療看護師 (NP) に対する「価値観×情熱×ビジョンの共有」
With/afterコロナの社会では、医療におけるICT、AIの活用もさらに進化し、医療におけるcollaborationのあり方も多様化してくることになると想像します。そんな時代だからこそ、診療看護師 (NP) とcollaborator (協同者) が本会の企画で交流し、お互いの価値観やそれぞれの兼ね備えているパッション (情熱) 、ビジョン (看護ケアの未来構想) を確認・共有することで、いま・これからの医療に必要とされる診療看護師 (NP) の新たな価値 (役割等) を創造できたらと思います。
安心した環境で、闊達な議論を目標に
尚、コロナウィルス感染症の拡大により懸念される開催形式は、今後のワクチン開発への期待と、学術集会というコミュニティとしてのあり方を考慮し、現地開催を主体で、web配信を追加・融合したハイブリッド形式で開催する方針です。感染予防対策として、フィジカル・ソーシャルディスタンス対応 (受付の自動化、座席調整や複数会場準備など) 、完全事前予約制、ポスター発表の廃止による3密防止等の対策を講じた開催を考えております。
本会では、多くの方々に参加していただけるようプログラムとして、特別講演、シンポジウム、教育講演、一般演題、展示や動画を活用した企業プロモーション、その他イベント等を予定しております。
日本NP学会の会員数も年々増え、地域医療のモデルともいえる長崎県での開催により、会員、非会員を含め、全国から職種を問わず多数の参加があることを心から願っております。異文化交流のまち・西洋医学発祥の地「長崎 NAGASAKI」で、皆様の創造性のある闊達な議論が展開されることを心待ちにしています。
国立病院機構 長崎医療センター 診療看護師 (NP)
本田 和也
副会長
診療看護師 (NP) サポーターとして本会を盛り上げたい
国立病院機構 長崎医療センター 総合診療科医長
和泉 泰衛
今回、第7回日本NP学会学術集会の副会長を務めさせていただくこととなりました。7、8年ほど前から長崎医療センターにおいて、医師として診療看護師 (NP) と一緒に学び仕事をしてきました。一人の診療看護師 (NP) サポーターとしてその経験を生かし、本田和也会長を補佐し学術集会を盛り上げていきたいと思います。
診療看護師 (NP) だけでなく、特定行為研修を受けた看護師、認定・専門看護師や、医師をはじめとした診療看護師 (NP) サポーターの方々にも、多数ご参加いただけることを期待しております。COVID-19感染予防対策を模索しながら、参加される皆様と協力して、安心して参加できる学術集会を目指してまいりたいと思います。
ぜひ、長崎まで足を運んでいただいて、このNP学術集会への参加とともに、本場の長崎ちゃんぽんや皿うどん (本当にうまかです!) をご堪能いただき、2018年日本新三大夜景にも選ばれている、稲佐山からの夜景 (本当にきれかです!) もご覧いただければと思います。
診療看護師 (NP) について、情熱をもって議論できる場に
国立病院機構 長崎医療センター 診療看護師 (NP)
伊藤 健大
私の故郷でもある長崎県で本会を開催できること、副会長として本会に関わらせていただくことを大変誇りに思います。
世界はCOVID-19という大きな困難に直面し、学術集会というあり方自体も様々な変化が求められています。本会でも感染対策を講じつつ、ご参加いただく皆様に少しでも楽しんでいただけるよう、これまでにない様々な工夫を凝らしながら、全力で企画・運営準備を進めさせていただきたいと思っております。
本会が、診療看護師 (NP) について、情熱をもって議論しあえるような会になればと願っております。これから会当日まで、企画委員・運営スタッフ一同、一丸となって取り組んでまいりたいと思います。ぜひ長崎でお会いしましょう。